体力の限界の私達を傍目にM・T、畑仕事でも真価を発揮

作業開始から二時間が経過した頃、私は自分の手のひらに違和感を覚えた。鍬から手を放すと中指の付け根付近に大きなマメが出来ていた。
「うわー……」
 マメはいったん潰れてしまうと後々厄介だ。私は思わず天を仰いだ。
「もう帰りてーんだけど!」
 N・Tが音を上げたかのように騒ぎ始めた。耕した場所を見比べてみると、進捗率は私とそれほど変わりはないが、N・Tの軌跡はやや左に緩やかなカーブを描いている。
 私の耕した箇所は左右少しずつずれている個所は見受けられるものの、直線を目指そうとするギザギザな道筋だった。
私のすぐ横で、M・Tはほぼパーフェクトな一直線を耕している。
「わー。なかなかセンスあるね!」
 私の言葉には耳を貸さずにM・Tは土埃に塗れながら黙々と耕し続けている。一見するとひ弱そうなM・Tだが、さすがは元運動部だ。華奢な見た眼とは裏腹に意外なほどスタミナがある。
「M・Tさ、マラソンでも出てみればいいんじゃない?」
「そりゃ、いい考えだ」
 道場で口と手を同時に動かせる門下生は今のところ私の知る限りではM・Tと古株のT・Mだけだ。